ポスト新型コロナは、産業と雇用をつくる教育再生が鍵!

 2008年9月に起こったリーマンショックは、就職氷河期世代をつくり、

10年近くも正社員数の減少をもたらしている。働き方の一つとして選ばれ続けられている派遣社員の推移もリーマンショックを境に4年間激減している。

 派遣切りが相次ぎ、派遣社員の就業人数が大きく減少している。派遣社員は景気のクッションになっていることは否めない。

 労働者派遣業を行う業者は、第1次オイルショック後の1975年頃から増えてきた。これに対応して1985年6月、派遣労働者の保護を目的とした「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律」(労働者派遣法)が成立し、翌1986年7月に施行された。

 日本では「解雇条件」が厳しく、「雇用の流動化」が中々進まない面がある。それが企業防衛に役立つという面があったからかもしれない。

 労働者派遣法も定着し、追いつけ追い越せの戦後の「終身雇用」「職能給」「年功序列賃金」「労働組合」といった「固定費型雇用」を維持しながら労働派遣法も定着し「変動費型雇用」が進み、リーマンショック以降は、日本型雇用形態に加えて、「変動費型雇用」の非正規の増加傾向がみられる。

 安倍政権下では、人口の構造問題(団塊世代の就職リタイア、生産年齢人口の漸減など)やデフレ脱却を目指したアベノミクス政策で雇用増、正規社員増が見られる。

 新アベノミクスの一連の「働き方改革」は、ワークライフバランスの視点に立った多様な働き方メニューが取り上げられた。副業、兼業も容認、女性の社会進出はもとより、高齢者の働き方、外国人研修生の拡充、政府挙げての最賃の計画的アップなども進められた。 

 雇用増、正規増を狙った多様な道をさらに推し進め、日本が抱える人口問題や先行きの雇用難を乗り越え、消費拡大を狙ったGDP(国内総生産)の浮揚対策があったからである。

 激変の現代、企業も人財を確保しなければ「明日はとても暗い」と危機意識が募っている。危機意識の強い業界や企業の危機意識が、人財確保にびっくりするほどの新卒初任給・中途採用に大枚を投じている業界や企業も出てきた。

 国が進めている働き方改革のワークライフバランスは加速し、副業兼業も進み、オープンイノベーションも加わって、新ビジネスづくりに向けた産業横断的な交流も期待されていた。

 ところが、国の改革が定着しかかった中で、コロナショックが襲った。出鼻を挫かれた。

 新型コロナで雇用の潮目が変わり、リーマンショックと同じように、非正規雇用から解雇が始まるのか…。

 そうであるなら、何よりもそうした人たちへの手立てが政策の一丁目1番地となる。立ち止まれる時間的余裕も、生活の余裕がないということも考えられるからである。

 他方、新型コロナは、経済構造の変革とこれまでの生活様式の変化も迫っている。

 黙って見過ごす訳にはいかない。立ち向かわなければならない。

 まずは個人の意識改革である。ベースとなるのは「自己学習」である。その浸透策である。幸い、ネット社会、リモート社会を迎えており、機会づくりやシステムを促せば、効果的となる。そうしたことが可能となる支援策(教育、生活支援等)を今以上に鋭角的に進め、新たな時代に必用な産業づくり、職業選択の一助となる仕組みを作るべきだと思う。それを推し進めていくのは教育である。国や自治体挙げての産業教育、リカレント教育の体制と仕組みづくりが挙げられる。

 目的は、国民の豊かさを確保していくため、GDPを押し上げる可能性の高い新しい産業、職業への移転策や社内での改善・改革に寄与できる人財づくりである。

 何よりも世界経済の競争環境も国の立ち位置も大きく変わってきているからである。地政学リスクも高まっているからである。

 政策の柱は、時代を捉えた第4次産業革命を見据えた政策展開や差別優位性を醸し出す日本文化産業づくりである。

 企業の成長は人財力が基本となる。企業の活力を集めた国の経済力は、国の立ち位置(外交・国防)を左右していく現実がある。その原点が教育だからである。

 しかし、教育格差は所得格差へ向かう現実もある。せめて、タブレット教育のように、個人に応じた、個々人の能力や特技を引き出す教育(個々人の秀でた能力を探り当て、それを伸ばしていく)の仕組みづくりが必要不可欠となる。そういった教育を追求していかねばならない。

 個性ある人材づくりによる新たな産業づくり、それを推し進める教育の再生が日本の行く末を担っているからである。

 コロナショックで、またまた日本社会が暗いトンネルに入っていくことを覚悟しなければならない。

 国のリーダーに求められるのは、たとえトンネルに入っても、いつまでに抜け出るか、抜け出る施策をどう展開していくか、人財を糾合し、鋭角的な施策に加えて、国民への力強いメッセージ力と強い行動力にかかっている。実行力にかかっている。

 中小企業経営者も全く同じである。

雇用形態別雇用者数 推移

雇用数正規非正規正規比率非正規比率
2007557220073449173566.533.5
2008555620083410176565.934.1
2009550120093395172766.333.7
2010550820103374176365.634.4
2011  <5535>2011  <3355>  <1812>  <64.9>  <35.1>
2012553020123345181664.835.2
2013556720133311191163.436.6
2014561320143298196862.637.4
2015566320153327198762.637.4
2016575020163376202362.537.5
2017581920173432203662.837.2
2018593620183485212062.237.8
2019600420193503216561.838.2

■2013年以降は総務省「労働力調査」(基本集計、年平均)
■2002年以降2012年までは総務省「労働力調査」(詳細集計、年平均)
■2001年以前は同「労働力調査特別調査」(2月)