新型コロナ・クライシス

少子化を真因とする人口・生産年齢人口の漸減、急速に進む高齢化を抱える人口問題、是正できないでいる過密・過疎、平成時代の世界での産業立ち位置の低下、一人当たりGDP(国内総生産)は先進国で最下位(28位)の状態化、そして地政学リスク、重くのしかかる財政(MMT学派は異論)など、様々な構造問題を抱える中で新型コロナショックが追い打ちをかけています。
頭の中は真っ白、日に日に社会の空模様が変化し、生活・雇用・事業運営、需要・供給・金融と、トリプルショックが押し寄せ、ことの大きさに驚愕している日々です。
先の見えない事態をどう乗り切っていくのか?

まず国の対応です。すべての人・企業への「機会の平等」を提供することです。「命」と「お金」とどちらが大事かと言えば、当然「命あっての」ということになります。「国民の命」「事業所・企業の命」を救うためには、お金は国の役割で、規制緩和も手立てとなります。平時の民主国家はきちんとした基準や行政手続きはとても大事な点ですが、
出血が止まらない状況では、お金の配り方、融資はスピードがポイントです。ここは危急存亡の時と腹に決め、迅速・果断にすすめていくことが求められます。日本らしい「入口規制論」も棚上げして、ここは「出口論」でスピードが求められます。ヘリコプターマネーと言われても思い切って行うことが求められます。国の対応は、少しジグザグは見られますが、動き出しています。

企業の対策はどうでしょう。

第1のポイントは、資金確保で流れ出る血を止めることが第一手となります。
そして、何よりも動揺が隠せない社員への社長の決意です。困難を乗り越え「〇年後には、こういう会社に仕立てる」と覚悟と決意をもって理解していただく言動です。
トップの苦悩、重圧は計り知れないものと思いますが、企業と社員が生きるための絶対条件です。

第2のポイントは「出血を弱める手立て」です。
現場では、素早く事業の延長線上での事業の試みがなされています。例えば、飲食店の弁当店頭販売、宅配弁当やスマホでの弁当紹介アプリを立ち上げたり、テイクアウト割引券、先々利用することを前提にした先払いの商品券(引き渡し券)、事業所が立ち上がり飲食店から弁当を買う運動、タクシー会社が弁当を運んだり、市町村の独自支援など、横の連携も進んでいます。危機の時はこうして連携し合うことで、規制を超えた新しいビジネスチャンスの時でもあります。各業界・各方面でいろいろな試みが繰り広げられています。とても良いことだと思っています。たいした儲けにもならないと遮断することではなく、まずいいと思ったら前に一歩踏み出し、動くことが道を拓く第一歩になります。無駄と思えることも「無駄の効用」と受け止めれば、新発見、新事業の芽が噴き出すかもしれません。前向きに、肯定的にものごとを考えていくことが道を拓きます。

第3のホイントは、もう一つ出血を弱める手立てとして補助金・助成金・給付金などの支援策をうまく活用することです。
ただ、支援策などは「後ろ向きな支援策」と「前向きな支援策」があります。
持続化給付金、雇用調整助成金などは前者で、デジタル社会に向けた支援策などは後者の支援策といえます。
経営者は、現在とこれからをイメージしながらどう活用していくが大切になります。しぶとく生きるためには、硬軟使い分けることも必要と考えます。

第4のポイントは、コロナから貴重な時間をいただいたと強く意識することです。これまでは、とかく目の前の仕事に奪われて、自社の方向やあるべき姿をじっくり考える時間がとれなかった企業もあることと思います。こんな危機、考えもしなかったといったことがあるかもしれません。あるいは危機慣れして、ことの重大さの程度が曖昧になったりもします。又、のど元過ぎればといったこともあります。
 各企業には、与えられた時間の中で、これまでの企業の棚卸、これから向かうべき方向、事業の立ち位置、そうしたことを想定しながら自社の強みや経営資源の棚卸を行うことです。これから社会の景色がすっかり変わるかもしれない世界を想定しながら、事業の方向はどうあるべきかという点がポイントになります。
そこでは「時代のやり方」「時代の技術」「時代の道具」も大きく変化して、それらとどうマッチングさせていくか、孤独にならず、これまで距離を置いていた社員(いないかもしれませんが)、異業の人たち、専門家などとの交流、膝を交えた対応を通じて、客観視することも大事な点です。

第5のポイントは、第4のポイントを踏まえ、ビジョンを打ち立て、アクションプランを作成し、必要な経営資源とりわけ人財を整え、目標を睨んだ業務の合理的な取組みの設計が挙げられます。
第6のポイントは、今回の学習も踏まえた事業継続計画(BCP)の策定と訓練です。
以前から国は、事業継続計画(BCP)を推進しています。コトが起こったとき、いざという時に「あわてない」ということがポイントです。あわてると初動対応を間違えたり、手順が混同したりして傷口を大きくしかねないからです。日ごろから「見える化」しておけば、その手順をみて、状況を勘案しながら手を打つことができます。国も企業も「治に居て乱を忘れず」です。その一歩は、BCPの策定と訓練です。

第7のポイントは、日本が構造的な問題を抱える中で、一段落の中期対応は、返済も始まり、「取組みの公平」が待ち受けると覚悟しなければなりません。出口論です。「結果の公平」の審判を覚悟しなければなりません。
社会に必要な企業とそうでない企業とに、選別されていく優勝劣敗が待ち受けるという社会の審判や施策も覚悟しなければなりません。

時間をどう活かすか、ポスト新型コロナへ向けた対応です。経営者の力量を見えない敵・新コロナウィルスがじっと計っています。